こうした問題において、もっとも要求されるものとは知性であり、時には批判的な能力でもある。しかし経済学の研究において求められ、培われてきたものは、共感の能力である。とりわけ、このすばらしい能力のおかげで、仲間の立場に身をおくことだけでなく、他の階級の立場に身をおくことが可能になる。例えば、異なる階級への共感とは、研究によって可能になってきたものである。そうした研究が、日々、ますます求められるようになってきている。その研究は、人格と収入における影響について、また雇用手段と支払い習慣における影響について研究することであり、国家の効率をあげ、確実さと愛情を強固なものにして、経済集団のなかで個々をまとめる方法を研究することでもある。個々とは、家族であったり、同じ仕事における雇用主と雇用人であったり、同じ国の市民同士であったりする。それはまた、私欲のない個人が、職業的なしきたりや産業別労働組合の習慣が残る階級の私欲と混ざる時の、善悪についての研究でもある。あるいは、現在および未来の世代のために、富を増やし機会を増やしていく方向へ向こうとする動きについての研究でもある。(1.Ⅳ25)
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