アーサー・モリスン「ジェイゴウの子ども」 29章 182回

 ハンナ・ペローにとって、状況は少々しのぎやすいものとなった。スタート神父は、ハンナが力を回復するまでのあいだ、食べ物があるかということを把握した。それから、シーツをたっぷりと送った。さらに教区の救援物資に関して、無理やり自分の主張をとおした。それは週あたり二シリングの援助金と三クォーターンのパンの塊であった。不幸なことに、パンには教区の刻印がおしてあった。もし、その刻印がなければ、食料雑貨商のところで売られてしまい、救済の手だてが、家賃として、家主のもとに届くことになるだろう。(家主というのは立派な人物で、自分で食料雑貨の店をもっているのだ)実際には、無理やり押しつけられたパンを一家は食べ、家主はその二シリングの救援金を受け取ったが、ほかにも支払ってもらわなければいけない家賃が十八ペンスあった。もちろん、その気になれば、ハンナ・ペローは、他の者たちがしているように、部屋に同居人をおくこともできた。だが彼女が疑いをいだいているのは、無理やり家賃をとりたて、もし同居人が家賃を支払わなければ追い出してしまう能力が、自分に備わっているのかということだった。もちろん、借金のかたに入れられそうなものは消えていたが、小さなニッケルめっきの置き時計だけは残っていた。その時計を売れば、十六ペンスになったかもしれなかった。だが彼女は気まぐれから、その品を持ち続けていた。ジョシュの思い出があるのだと考えていた。その時計があるおかげで、ジョシュが家族との約束を守ろうとしてきたからだ。

 

Things grew a little easier with the Perrotts. Father Sturt saw that there was food while the mother was renewing her strength, and he had a bag of linen sent. More, he carried his point as to parish relief by main force. It was two shillings and three quartern loaves a week. Unfortunately the loaves were imprinted with the parish mark, or they might have been sold at the chandler’s, in order that the whole measure of relief might be passed on to the landlord (a very respectable man, with a chandler’s shop of his own) for rent. As it was, the bread perforce was eaten, and the landlord had the two shillings, as well as eighteenpence which had to be got in some other way. Of course, Hannah Perrott might have ‘taken in lodgers’ in the room, as others did, but she doubted her ability to bully the rent out of them, or to turn them out if they did not pay. Whatever was pawnable had gone already, of course, except the little nickel-plated clock. That might have produced as much as sixpence, but she had a whim to keep it. She regarded it as a memorial of Josh, for it was his sole contribution to the family appointments.

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