アーサー・モリスン「ロンドン・タウンへ」1章15回

 

 

ベッシーには、知らない人の前にでると、内気になる癖があった。アイザックおじさんも、知らない人の範疇にはいっていた。以前、彼がここに来てから、少なくとも二年は経過していたからだ。ほんとうに、彼のことを思いだすと、彼女はますます内気になった。彼は大きな声で、祖父に恩があるということを長々と説教するのだが、説教していくうちに彼女のことを肢体不自由者とか、ときにはお荷物だと言うからだった。彼女は、自分が肢体不自由だということも、お荷物だということもわかっていた。だが、腕をしっかりつかみ、そう言ってくる相手が、アイザックおじさんのように、声が大きくて、どんぐり眼の紳士だと、なんだか泣きだしたくなるのだった。そういうわけで、できるだけ素早く、彼女は兄と合流した。それから二人は、踊り場と離れの扉のあいだにある暗い影に撤退することにした。

 

Bessy had a habit of shyness in presence of strangers, and Uncle Isaac ranked as one, for it was two years at least since he had been there before. Indeed, what she remembered of him then made her the shyer. For he had harangued her very loudly on the gratitude she owed her grandfather, calling her a cripple very often in course of his argument, and sometimes a burden. She knew that she was a cripple and a burden, but to be held tightly by the arm and told so, by a gentleman with such a loud voice and such large eyes as Uncle Isaac, somehow inclined her to cry. So now, as soon as might be, she joined her brother, and the two retreated into the shadowy corner between the stairfoot and the backhouse door.

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