2017.9 隙間読書 グラディス・ミッチェル「ソルトマーシュの殺人」

「ソルトマーシュの殺人」

作者:グラディス・ミッチェル

訳者:宮脇孝雄

初出:1932年

国書刊行会

今週末のグラディス・ミッチェル「月が昇るとき」読書会にむけて、今頃ようやく「ソルトマーシュの殺人」を読んだ。・

まずカバーの絵が素敵。物語の展開をうまく暗示しているし、イギリスの田舎のイメージを雄弁に語りかけてくる。

イギリスのソルトマーシュという海辺の村の様子が前半細かく描かれ、イギリスの田舎の景色が見えてくるよう。この人物のどこが重要なのだろうかと思わせる人物描写の連続もとても楽しい、私には。でもベストセラーになることはないだろうなあ、この作品。



疑問がいくつか。

まず牧師さんは、なぜ間違ってこんな因業な奥さんと結婚してしまったのか。最後まで謎であった。

それから洞窟の問題。そんなに洞窟って簡単に掘ることができるものだろうか? それに若い娘が秘密の洞窟をとおって恋人に会いにいくだろうか? 洞窟のようなジメジメとして、閉鎖的な空間が苦手な私、洞窟をひとり歩くくらいなら、恋人との密会は捨てるが…。


我が師の訳ながらやはり疑問に思う箇所もほんの少々、普通は遠慮して言わないものなんだろうが、そこは厚かましい私。原文が手元にないから、はっきりとはしないけれど。

50頁サー・ウィリアムはケーキを取り、無造作にかぶりついた。その拍子に、何の害もなさそうに見えたケーキに入っていたクリームがどろりとこぼれ、スボンの膝に垂れた。

サーともあろう方がケーキにかぶりつくだろうか? イギリスのケーキでクリームがどろりとこぼれるものはあるんだろうか?…とどうでもいい些細な疑問。


これも原文から苦労されて訳出されたのだろうけど。

271頁ミセス・ブラッドリーは褌を締め直し、というのはもちろんたとえだが、

ミセスが褌だと強烈なインパクトがある…のは良いのかどうか、さて。褌効果なのかもしれないが、ミセス・ブラッドリーは「月が昇るとき」よりも、さらにエキセントリック度が増して見えた。



それから頻繁にでてくる登場人物の職業を「融資家」と訳出されていたけれど、もとの単語は何なのだろうか。日本語にはしにくい英単語なんだろうが、フム…と考えてしまった。


「月が昇るとき」と犯人のパターンが同じだけれど、グラディス・ミッチェルの他の作品もそうなのだろうか?読書会で教えていただくことを楽しみに待つとしよう。

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