丸山健二『千日の瑠璃 終結5』より十二月十六日「私は鎖だ」を読む
十二月十六日は「私は鎖だ」と、まほろ町の自然そのものを鎖に見立てて語らせている。
おそらく丸山先生も自然豊かな大町の地に、何らかの鎖を感じながら過ごされてきたのだろうか。
もしかしたら普通の人なら見えない鎖なのかもしれない。その縛りを感じるからこそ、文学作品を書くことが出来るのかもしれない……と思った。
私は鎖だ、
鳥のように種類の多い人々を
このまほろ町にがっちりと繋ぎ止めている
目には見えぬ
ときには見え過ぎることもある
なんとも得体の知れない鎖だ。
(丸山健二『千日の瑠璃 終結5』166ページ)