さりはま書房徒然日誌2026年4月23日(水)

名塩和紙の紙漉き体験

文楽を観るため大阪にはよく行く。

ふと大阪には紙の店が多いことに気がついた。

当たり前かもしれないが京都にも和紙の店が多い。学校帰りに立ち寄った記憶があったり、和紙の店が日常に溶け込んでいる人もいることに気がついた。

やはり東とは違う。

これだけ紙屋があるなら、和紙の紙漉きが出来るところもあるのでは……と探してみた。

紙漉きできるところを次々発見。

和紙について知識もないまま「ここなら車がなくても行けそう!大阪から一時間以内だ」と安易に選んだのが名塩(なじお)和紙の谷徳製紙所。

それが実に長い歴史のある、素晴らしい特徴のある製紙所だった。

名塩千軒とも言われたほど栄えていた

名塩和紙の起源は室町時代。

越前和紙に学んだ人が名塩に持ち帰ったものらしい。

江戸時代は「名塩千軒」と言われるほど紙漉きが盛んな地域だったが、昭和初期で70軒に減り、現在では2軒しか残っていないそうだ。

そんな歴史の名残で、最寄の西宮名塩駅前にある西宮市立北部図書館には、和紙関係書籍の棚がある。

かなり古そうな、今では古書でも見かけないような本もあった。

「手漉和紙精髄」という箱入りの、各地の美しい和紙のサンプルが貼られたずっしり重い大型本もあった。

この棚だけで数日楽しめると思う。

そんな歴史ももう忘れ去られているのだろうか?

目指す谷徳製紙所付近で場所を地元の人に尋ねても、「製紙所?」と怪訝そうな顔。

地図からするとここだ、でも看板がない。勝手に中に入って、違っていたらどうしようと電話する。

やはりここだった。

谷徳製紙所のすごいところ

谷徳製紙所は、中々入手し難い雁皮を材料にしている。

さらに名塩特産の、神戸層群第二凝灰岩という岩石の微粒子から四種類の泥(白、青、黄、茶)をつくって、雁皮に混ぜ込むそうだ。

泥を混ぜ込むことで、虫害を受けにくい、ネズミの害も受けにくい、日焼けや褐色も防ぐ、熱や耐火性に優れるそうだ。

そういえば、まるみずのレッスンで先生がそんな和紙があることを言われていた。
これがそうなのか……

最後、八十年前の和紙を購入したが、全然古くなっていない……

ちなみに泥の色はこんな感じ。お土産に買った封筒セット。国産雁皮100パーセントだからツルツルした感じ。


谷徳製紙所の先代、故・谷野武惟氏は人間国宝。

製紙家の家に生まれ、14歳から紙漉きを始めた。

ビデオを視聴していたら、谷野武惟氏は紙漉きで使う簀を、近所の呉竹を使って自分で作られていたとのこと。すごい情熱である。

その先代から技術を受け継いだ谷野氏に直接、紙漉きを教えて頂いた。

いざ紙漉きへ


これが雁皮(ガンピ)。

栽培できないし、成長が遅いし……なので高価。あまり見かけない。

雁皮は六甲山のものが質が良いとのこと。

そんな雁皮を先代は生涯かかっても使いきれないほどストックされたそうだ。すごい。

外側を剥き、内側の一番外だけを剥がしてゆく。

そのあと水につけ、煮て、ゴミやチリをとり……気の遠くなる作業。

しかも苛性ソーダだと傷むから、ソーダ灰(?)を使うというこだわり。

雁皮を煮たものにノリウツギを混ぜて練ったものをたっぷり大きなバケツに用意してくださっていた。

なんて贅沢な体験!

「鳥の卵のような色、鳥の子の色をしているでしょ?」との言葉に、鳥の子和紙の語源はここからでは?と思ったり。

雁皮の液をこちらに入れて、よく混ぜて下さる。

材料の性質ゆえ……という説明だったかと思うが、こたらではチャプチャプ揺らす流し漉きではなく、揺らさずに持ち上げて液体が切れるのを待つ溜め漉きである。

今度はミツマタに泥を加えた液で紙漉きにトライ。

東大寺二月堂お水取りのお札もこの液でつくるそうだ。

だんだん色々出来てゆく。

ただ雁皮は鉄板で乾かすことが出来ないため自然乾燥を待たないといけないとのこと。

夏場、混ぜる材料にはノリウツギではなくビナンカズラを使うそうだ。↓

山水が引いてあった。水道水だと材料が混ざらないとのこと。

このあと名塩和紙についてのビデオを視聴。

あらためて和紙は地元の山水、鉱石、雁皮や呉竹、ノリウツギやビナンカズラなど、その土地ならではの自然が生かされて出来るのだなあと知る。

だから和紙に触れていると優しい気持ちになるのだろうか?

紙漉き体験をしながらのおぼろな記憶のため記憶違いがあるかもしれない。

名塩には和紙の資料館もあるし、図書館にも和紙関係の本がある。

正確な知識はそちらで。

もし興味をもって谷徳製紙所さんに行かれる方がいれば、事前に予約をされますように。

色々と親切に貴重な体験をさせてくださいました谷徳製紙所さんに感謝です。

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