クルーグマンのブログ「日本というお手本」NYT

Japan as “Role Model” – NYTimes.com.

2012/05/30 NYT

マーチンウルフとのインタビューで、日本の政策について天皇へ謝罪すると冗談を言ったけれど、状況がよいと考えたからではなく、流動性のわなにはまったアメリカの政策がさらに悪化してきているからだ。これから話そうとする内容について、指し示してくれる表があるほうが役に立つだろう。

下にある表は、1991年以降の、日米における15歳から64歳の男性の労働人口表である。日本はその年あたりから凋落しはじめたと考えられている。なぜ女性ではなく男性なのか、なぜ年齢を区切るのか。基本的に、社会的な変化と結婚などのライフスタイルの影響から離れるためである。賃金労働に従事する女性という観点から見れば、日本はアメリカよりも遅れているうえに、当然のことながら急速な高齢化がすすんでいる。これが壮年期の男性の問題だというつもりではない。これは比較的はっきりとした表である。その表はここにあるとおりである。

(英文記事の表をご覧ください・・・訳者より)

 

日本は凋落しているにもかかわらず、アメリカが苦しんでいるような雇用崩壊をまだ経験していない。こうしたことから、私たちは日本よりも更に悪化傾向にあるといえるだろう。

私が言ってきたことだけれど、ある意味、日本はもう警告をあたえるような存在ではなく、まだ悲惨な存在から抜け出ていない。しかしアメリカと比べると、お手本のように見えてしまうのである。(Lady DADA訳・BlackRiverチェック)

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クルーグマンのブログ「英国のわな」NYT

Britain’s Trap – NYTimes.com.

2,012年5月28日

英国のジャーナリストであるマーティン・ウルフが暴露した。キャメロン政府は、緊縮財政主義を推し進めることでひどい過ちをおかしたのだが、今さら流れを変えることはできない。もし変えようものなら、自ら過ちを認めることになるだろう。

「今頃になって政府がそうした声明をだせば、政府の面目はつぶれるかもしれない。しかし英国民がいつまでも政府の誤りのせいで苦しむ理由はないのだ」

しかしながら、理由はもちろんある。理由というのは、政治家たちの野心と虚栄にある。そうだろう、クレッグ(イギリスの副首相であり自由民主党党首)。

(Lady DADA訳)

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クルーグマン「財政に巣くう詐欺師たち」NYT

201211年5月27日

Fiscal Phonies – NYTimes.com.

ショート・クイズをどうぞ。「ニュージャージー州の共和党知事クリス・クライストを、最後がyで終わる5文字に言いかえると何になる?」

最初にでてくる答えはもちろん、「bully(いじめっ子)」だ。しかし州予算をめぐって最近おこなわれたディベートを見ると、「phony(詐欺師)」も同じくらい妥当な答えだ。そしてクリスティが詐欺師なら、クリスティと同じ共和党の連中も詐欺師だ。

これまでも、財政に巣くう詐欺師という攻撃はされてきたけれど、それは州レベルの話ではなく、主に国家レベルでの話であり、ふさわしい例をあげるなら予算委員長のポール・ライアンだ。このコラムをいつも読んでいる読者ならわかるだろうけど、ライアンは容赦なく財政を食らうタカ(詐欺師の意)という世評をとりつけてきた。ライアンがだしてきた予算案は赤字削減に焦点をあてたものからは程遠く、主として富裕層への税金を削減するものであり、貧しい人々や運に恵まれなかった人々への援助を削減するものだ。実際、ライアンの「魔法のアスタリスク」を取り去ればーーーなんとかして歳入を増やし支出を削減するつもりだというが、具体的な策について語ることは拒んでいる。手元に残されるのは、政府の負債を減らす案ではなく、ただ増やすことになるだろう案なのである。

同じことは、ミット・ロムニーについてもあてあまる。ロムニーの主張では予算のバランスをとるつもりだそうだが、実際の提案は、主として巨額の税金の削減(もちろん、企業と富裕層のための減税である)から構成され、国防費については削減しないという約束が付け加えられている。

ライアンにしても、ロムニーにしても、二人とも赤字については詐欺師まがいの人物である。二人のペテンを証明しているのは、ひどい計算能力だけではない。予算不足を心配していると表面上は主張しているけれど、心配しているからといって何かをあきらめるわけでもない。それどころか何一つあきらめていない。ライアンやロムニー、それから二人の支援者たちは欲しいものを何もあきらめていない。二人は赤ん坊の口から食べ物をつかんで奪い取ろうとしているのだ(それはまさに、栄養摂取計画への厳しい削減のことである)。さらに二人の視点からも明白なことだが、ライアンの言葉によれば、社会的な安全網とは「健全な体の持ち主を、生活保護や自己欺瞞であやすハンモック」であってはいけないとのことだ。利益や所得への税は低くおさえ、更にこうした税の削減についての批判は、どんな方法であれ許されないことなのである。

今でもライアンとロムニーは、国中の聴衆にむかって演じ続けている。共和党の知事は厳しい予算の制約に対処しなければいけないが、その姿はぶざまなのだろうかと。これは論議をよんだ。とりわけクリスティが広く支持されてきているのは、少なくとも彼自身の力によるものではなく、厳しい選択をしようとする姿が政治家の一例として支持されてきたのだ。

しかし先週、クリスティが実際に冷酷な選択にせまられる姿を目にすることになった。大声でわめいて影響を与えることは別にして、クリスティは自分から財政に巣くう詐欺師の一人にすぎないことを証明した。

以下がその話の詳細である。以前、クリスティはいわゆる「ジャージー・カムバック(ニュージャージーに戻っておいで)」を奨励していたた。最近でも言動が暴走しているけれど、以前からクリスティには何を言っているんだか意味不明のところがあったのである。たしかにクリスティが知事の座についてから、州には成金趣味の建物が建ち、職がふえてきた。けれど、それは増えたといっても遅々とした増加であり、国全体でみても、あるいはニューヨークやコネチカットと比較してみたところで遅々とした増加であることに変わりない。

それでもクリスティが断固主張するところによれば、ニュージャージーには皆が戻り始めているという。しかも見当がつくだろうけど、それを口実にして、資産家が儲けている現状にもかかわらず減税を行うそうだ。

そして先週、現実がクリスティに攻撃をかけてきたというわけだ。無所属で、どの党派にも所属していない予算分析家ディヴィッド・ローゼンが議員たちに警告したのだが、それによればニュージャージー州は13億ドルの赤字に直面しているという。クリスティ知事の反応やいかに。

まずは、指摘してきたローゼン氏当人への攻撃だ。ローゼン氏は経験をつんだ公務員であり、職務では州知事のクリスティよりも正確に、予算の予測をたてている。でもクリスティにかかれば、ローゼン氏も「ケホーキアン博士(不治の病に苦しむ大勢のために自殺機械を発明した人物)」になってしまう。なんて慇懃無礼な奴。

でもクリスティのもとで働く公務員ですら、予算の不足額が大きいだけでなく、深刻な事態であることを予測している。更に二つの信用格付け会社ムーディズとスタンダード・エンド・プアーズも、最近、ニュージャージーの州予算について警告した。スタンダード・エンド・プアーズによれば、知事の楽観的な歳入見通しのせいで、州の予算は「構造的に不均衡」だということだ。

ニュージャージーの経済状態は、いまや不吉な状況にある。強情な知事も、さすがに十八番の減税を考え直すのだろうか。意味不明の言葉で、「Fuhgeddaboudit(そんなことは忘れちまえ)」とでも言うのだろうか。クリスティはそうする代わりに、窮地をその場しのぎの予算のからくりでごまかそうと望んだ。交通機関への投資のための借入金を減少させるという約束を反古にしてしまい、クリーン・エネルギー計画から資金を流用したのだ。財政上の責任追求については、このくらいで止めておく。

予算が限られていることから癇癪をおこすせいで、クリスティがロムニーのジョギング仲間になるかもという見方は終わりをむかえるのだろうか?私にはわからない。でも、本当はそんなことは問題ではない。ロムニーが誰を選んだのであれ、それが男だろうが女だろうが、予算が破産するまで喜んで一緒についていくだろう。そして前の知事が勝利していたらなら実現していたはずの、ロビンフッドのような政策へと逆回転させるだろう。

現代のアメリカ右翼は、赤字のことを気にかけていない。昔から気にかけていなかったのだ。負債についての話といえばすべて、メディケアやメディエイド、社会保障、フードスタンプを攻撃するための理由にすぎなかった。クリスティに言及するなら、財政に巣くう詐欺師の一人にすぎない。ほかの詐欺師と区別できるのはは、ただ悪口が好きだという点においてなのである。(Lady DADA訳・BlackRiverチェック)

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クルーグマン「アンモラルなエゴイストたちへ」NYT

Egos and Immorality – NYTimes.com.

2012年5月24日

国家を荒廃させる財政危機に瀕し、オバマ大統領は穏やかながら、でも明らかに必要な規制を若干制定した。なんとも許し難い税の抜け道を少しふさごうと提案したのである。また大統領の指摘では、ミット・ロムニーが会社を売り買いしてきたという歴史は、従業員を解雇して途中で年金を奪ったという歴史であり、アメリカの経済を動かすのに適した人間だということにはならないという。

ウォール・ストリートは反応したーーー私が思うところ、案の定である。泣いたり、かんしゃくをおこしたりしたのである。宇宙の帝王の、これほど子供っぽく、怒りっぽい姿を見ることになろうとは、ある意味、面白いことでもあった。ブラックストーン・グループのステファン・シュワルツマンが、税の優遇措置を制限する提案を、ヒットラーのポーランド侵攻になぞらえたことを覚えておいてほしい。JPモーガン・チェースのジャミー・ディモンが、収入の不平等性に関する議論を、成功という考えそのものへの攻撃とみなしたことも覚えておいてほしい。

しかし、肝心要はここなのだ。ウォールストリートが甘やかされて育ったたガキの場だとしたら、そのクソガキどもは巨大な勢力を手にしているし、自由に使用できる富も持ち合わせているってことだ。そして今、クソガキたちが力と富を使ってやろうとしていることは、利益を生み出してくれる政治を買うだけではなく、自分たちを批判しない政治を買おうとしているってことだ。

ところで、その話題の前に、ウォール・ストリートやその筋から信用の厚い支持者たちから散々聞かされている妖精物語を暴くことに時間をさこう。その妖精物語では、急騰した財政のせいでアメリカ経済がこうむった莫大な損害は記憶から流し去られてしまい、資本家はアメリカを救ったヒーローになるのである。

むかしむかし・・・と妖精物語は語りかける。アメリカは怠け者の管理職とぐうたら労働者の国でした。生産性は弱くなり、アメリカの産業は外国との競争のせいで衰退していきました。

やがて四角いあごをした、感情に流されないミット・ロムニーと作り話の人物ゴードン・ゲッコーが救助にきてくれて、財政と労働について訓練を行いました。たしかに二人を好まない人たちもいましたし、たしかに二人は途中でたくさん金儲けをしてしまいました。しかし結果はすばらしい経済の再生であり、利益が少しずつ皆のところへ流れていきました。

ウォール・ストリートがなぜこの話を好きなのかわかるだろう。しかし、ゲッコーとロムニーが金儲けを好きだという部分をのぞいて、その話はどれも真実ではない。

生産性が高くなるという主張が、現実には起きなかったからだ。実際、アメリカのビジネス全般の生産性は戦後スピードが早くなった時期があるが、その時代において銀行はきびしく規制され、個人による銀行の所有権はほとんど存在しなかった。その時代のほうが、「強欲は善」であると決めた今の政治システムより、生産性のスピードが早いのである。

国際的な競争はどうだろうか。現在アメリカは絶え間ない貿易赤字を運命づけられた国と考えられているが、常に赤字だったわけではない。1950年代から1970年代にかけては、だいたい貿易の均衡がとれていて、輸入した分と同じ位の輸出をしていた。大きな貿易赤字はレーガンの時代に始まった。いわばレーガンの時代は、急騰財政の時代なのだ。

では少しずつ富が流れていくという話はどうか。それも起きていない。過去30年間、生産物はかなり増大した。ウォール街の自己主義の連中が信じさせようとしている天秤で計ると、増大してないように見えるだけの話だ。アメリカの労働者に流れたのは、こうした利益のごくわずかな部分だけだ。

だから財政で凄腕をふるっても、アメリカの経済に奇跡は起きなかったのだ。そして、辣腕のディーラーたちが金儲けをしているのに、何故あいまいな結果しかでてないのかと問うべき処なのである。

けれど、これこそ凄腕ディーラーたちが訊かれたくない問いなのである。私の考えでは、税の優遇やら特権やらを守りたいだけではないのだ。そこにはまた、エゴにかられたものもあるのだ。莫大な富では十分ではなく、敬意も欲しいと望み、手に入れようと頑張っているわけだ。ウォール街のかつての民主党員がミット・ロムニーに好意をもっている理由を読んで驚いた。ロムニーの政策が優れているからではなく、財政超過に関するオバマ大統領の穏やかな批判のことを個人的に侮辱されたように考えているからなんだ。

ネワーク市長やコリー・ブッカーのように、ウォール街と関係のある民主党の政治家が義務感から立ち上がって、友達のなんともはかないエゴを守ろうとする姿を目にすると、実に悲しくなる。

冒頭に言ったように、ウォール街の自己中心的で、自分の利益に専念した行動は滑稽だ。けれど、こうした行動は面白いかもしれないが、また非常に不道徳なことなのだ。

今、無責任な銀行家のせいでもたらされた50年間の中において、私たちがどこにいるのか考えてほしい。銀行家たちは手を引いてしまったが、残りの国民の苦しみはまだ続いている。長期にわたる失業率は高い数値にあるにもかかわらず不況以降ほったらかしにされ、若いアメリカ人は学校を卒業しても救いようのない求職市場が待つのみだ。

この国家をおおう悪夢のなか、経済エリートたちが皆気にかけているのは、オバマ大統領が自分たちの感情を傷つけたってことだけだ。なんて滑稽な有様だろう。恥を知るべきだ。(Lady DADA訳・BlackRiver訳)

 

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クルーグマンのブログ「再びラッファー再考」NYT

More Laffering – NYTimes.com.

2012年5月25日

今夜、ビル・マハーの番組でとりあげる話題の一つに、州税の税率を低くすることが経済成長の鍵になるというアート・ラッファーの主張がある。ラッファーの説について、どう考えればいいのか。簡単なことさ。そんな考えは、ジャンク・エコノミックス(訳注・・・英文記事のリンク参照)ってものだ。リンク先のデータを見てみるといい。

本当はITEPを信用するべきなんだけど、だって注意深く、良い仕事をしているから。けれど、もしITEPを自由主義の情報源として信用しないなら、エド・グレーサーを読んでみてごらん。まあ、たまたま共和党員だけれど、穏やかな気候と規制の緩やかな土地活用政策によってどこかの州は急激に成長すると言っている。そう、税金によってじゃない。それともジム・アルムの包括的研究を読んでごらん。かなり保守的だと思うけど、こんな一節があるんだ。

「結果から示されているのだが、政府と州、あるいは州と地域間の課税政策の相関関係は、統計学的には十分ありうるものだ。しかし、集合体の規模や課税期間など具体的な後退策から影響を受けやすい。それとは対照的に拡大政策の効果は、もっと安定したものがある。重要なことだが、州の政治的な情勢判断は、最初から経済成長に影響を与えているという強い証拠がある。驚くべき事だが、おそらく政策が保守的になるほど経済成長率が低くなるのである。」

そう、ラッファーのジャンク・リサーチに、右翼シンクタンクの、ウォール・ストリート・ジャーナルとかが注目するのはなぜだろう。わからないなあ。まったく不思議だよ。こうした右翼連中はいつも富裕層の税削減の口実を探しているということだろうか。冗談じゃないなあ。(Lady DADA翻訳・B.Riverチェック)

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クルーグマンのブログ「ラッファー再考」NYT

Enter, Laffering – NYTimes.com.

2012年5月24日

ブログをほったらかしですまない。シアトルではいろんなことがありすぎてね。

明日は夢の国カリフォルニアで、ビル・マハー気分。それともアート・ラッファーを気取ろうか。

これは、2、3年前にいろんな政党からだされた予言をふりかえる良い機会だ。3年前に、ラッファーが「インフレと利率の上昇へ備えよ」で、こう述べている。

「しかし財務情勢も悪く、パニックをもたらす通貨政策も悲惨な結果の前兆となるであろう。今後4、5年にわたり物価が急激に上昇し、利率も更に上昇するだろうという見通しがたつ。しかし、それに付随するものとして、1970年代後半とは異なり、生産性と雇用に対して有害な衝撃をあたえる結果になろう。」

いいかい、これが書かれたのはわずか3年前のことだ。だから、まだハイパーインフレーションには間に合うと思うけど。もう、動き出した方がいい。ぼくのメモも少しは役に立つんじゃないかな。

「しつこい位繰り返してるけど、言わせてもらうよ。ぼくたちは、流動性のわなにはまっているのだと。こんな状況では、金融基盤の危機はインフレにはならない」

それから続けて、そのときにぼくがだした声明文をもう一つ。

「われわれが現在おかれている窮地は、世界中が適切な額を超過して貯金しているということにある。すなわち経済を爆発でもさせないかぎり、財政赤字のせいで利率が上昇しないだろう。」

ついでに言わせてもらうけど、ぼくが緊縮政策の神話を攻撃してから2回目の記念日をむかようとしている。

記念にこうした文を思い出してみるのも、価値があるだろうと思っただけのことなんだ。 (Lady DADA訳・B.Riverチェック)

 

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クルーグマンのブログ「強欲は善か」NYT

2012年 5月23日

Was Greed Good? – NYTimes.com.

ディベートが絶妙な方向に転じ、ロムニーのベインキャピタル社での経歴に関する討論になったときに気がついたことがある。それは右傾化した連中も、それから社会事情に疎い多くの連中も、映画「ウォール街」の投資家ゴードン・ゲッコーが基本的に正しいと信じているということだ。ゲッコーみたいな輩が成功する以前、右翼たちの主張では、アメリカのビジネスは活気に欠け、生産性にも欠け、競争力にも欠けていたと言う。そして企業買収のLBO(レバレッジバイアウト)の嵐が吹き始め、ついには経済社会のエネルギーが爆発してしまったのだと言う。

私が言ったように、右翼の連中には皆、こうしたことが起きたと思いこんでいる。でも、言うまでもなく、この話にはちっとも真実が含まれていない。

アメリカにおけるビジネス(あるいは政治)のルールが変わり始めた1980年あたりから、世論の趨勢がどう変わってきたのか見てみよう。趨勢を導関数の値にして成長率を示すように、ログスケールを用いている。大きな加速的上昇があるだろうか?私にはそうは見えない。ベインキャピタルのようなタイプの投資家が誕生してから、生産物の成長率はスピードが落ちてきている。

(英文記事の表をご覧ください・・・訳者注記)

では、競争性についてはどうなのか。大きな貿易赤字を累積していくかわりに、世界市場で競争力をつけて売り始めたのだろうか。もちろん、それも違う。

(英文記事の表をご覧ください・・・訳者注記)

では、何が変わったというのか。それはだ、収入が急激に不平等に分配されるようになったということだ。

(英文記事の表をご覧ください・・・訳者注記)

おそらくこれで説明がつくだろうけど、欲望だらけの力が解き放たれたあとで、偉業がなされたと右翼の連中が思いこんだ(そう、思いこみにすぎないのだが)理由は、収入分配をめぐるこの変化のせいだ。本当のところ偉業というのは、右翼の親分のためのものだったのだ。普通のアメリカ人にとっては、これっぽっちも偉業ではなかったのにね。

( Lady Dada訳・B.Riverチェック)

 

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クルーグマンのブログ「良識ある馬鹿の話」NYT

2012年5月22日Sensible Nonsense – NYTimes.com

ラグラム・ラヤン教授の話しならOK、もう聞いている。「「良識ある」ケインス学派は不況に対する安易な解決策はとらない、なぜなら

政府の出費における全般的増加はかなり鈍る可能性がある。ニューヨーク州で高まってきている要求とは、ネバダ州ラスベガスまで家族で出かけて食事をするように援助することにはならない(つまりラスベガスでのレストランの雇用を増やすことではない)」

こんな論争をしている連中は、実際のデータを一瞬でも見たのだろうか。

ラヤンの文を読んだ読者は、たぶんこう思うだろう。ニューヨークでは完全雇用に近くて、失業問題はもっぱら最悪の住宅バブルをかかえたネバダのような場所のことだろう。11.7パーセントの失業率をかかえたネバダが、この国の雇用問題の先頭に立っているのは事実である。しかしニューヨークの失業率は8.5パーセントにもなる。正確には完全雇用ではないのだ。

ラヤンの主張ではっきりしているのは、この国の懐は高い失業率ではちきれそうだけれど、失業問題は国で活発に考える事柄ではないって言っているってことだ。失業問題に取り組むには、外科手術のように正確な政策が必要だからだ(実際には、これが何もしないでいる口実になるけど)。ここに失業率によって州を分類した、アメリカの人口分布表がある。(英文記事参考)

アメリカの人口の半分が、8パーセント以上の失業率をかかえる州に住んでいる。4分の3が7パーセント以上の失業率の州に住んでいる。10分の1だけが、失業率6パーセント以下の州に住んでいる。

いつまでも懐を高い失業率でふくらませた国でいるわけにはいかない。高い失業率が膨張してきているけれど、この国の懐はそんなに高い失業率をしまっておけるほど深くはない。まさに広い層に支持される政策を打ち出さなくてはならない場面にいるのだ。

再度くり返すが、裏づけるデータもないまま緊縮論を進めていくことに驚きを感じる。そうしたデータを少しでも見れば、この論争の愚かしさが明らかになるだろう。

そう、それは行動を起こさない理由を探しているようなものであり、事実に関心を持たないようなものだから。 (Lady DADA訳・B.Riverチェック)

 

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The Economist 「出エジプト記 第1章」 訳完了

Greece and the euro: Exodus, chapter 1 | The Economist.

危機から2年経過、ギリシャが離脱すれば大混乱となる

2012年5月19日

ユーロからのギリシャ離脱の可能性は、日を追うごとに高まっている。5月6日におこなわれた最初の選挙では結論にいたらず、とりあえず暫定内閣が誕生した。6月中旬に2回目の投票が予定されている。ユーロ離脱の引き金をあきらかにひくことになるのは、ギリシャの緊縮財政計画に反対を示す選挙結果だろう。ギリシャで投票がはじまり銀行の取り付けがはじまれば、事態はさらに加速していくだろう。

銀行の取り付けが始まるのは、現金を引き出そうとして列をつくる人々から始まるのではなく、コンピユータでクリックして金を海外に移転し債権や株式、あるいは資産を買おうとする動きで始まる。ギリシャの銀行は、過去2年間で総積立金の3分の一を失ってしまっている(表1参照)。これは人々が貯金をひきだしたせいでもある。少しずつこぼれていった積立金が、近日中には膨張し始めそうな、心配される兆しがある。

ギリシャ大統領カルロ・パポプリアスは、5月14日、預金者がギリシャ銀行から7憶ユーロ(8.94憶ドル)を引き出したという中央銀行からの警告を発表した。数週間、信頼できる数字は公的なところから公開されないだろう。しかし銀行筋によれば、14日から120憶ユーロが引き出されたそうである。流出は今週になってからも続いているが、以前よりもゆったりとした速度になっている。「ほとんどの兌換貨幣はもうなくなってしまった」ということだ。「今、目にしている炎は、夜のニュースで何を言われているのかも理解できない少額預金者が貯金を引き出そうとしている姿なのだ。」

さらに心配なのは、預金流出の可能性がポルトガルやスペインのように傷つきやすいユーロ圏の国に広まることだ。「銀行取り付けの典型的なパターンは、滴がやがて洪水に変わることだ。」ある銀行筋は言う。「本当に心配なのは、ダムが決壊してしまうことだ。最初はギリシャで始まったものが、あらゆるところに広まっていくことである。今のところ他の国では、家庭では今の銀行に貯金を預けたままである。しかし大企業は、ギリシャ周辺の銀行や国から、金を引き上げはじめている。英国では地域自治体によっては、地方資本の銀行であり地域管理の銀行であるにもかかわらず、サンタンダーズ・ブリティッシュ銀行から預金を動かしているという噂である。

これから4週間にわたって、ギリシャの政局は「リンボ」、すなわち天国と地獄のはざまを経験することになる。当面の仕事とは、投票前に預金が流出する事態を沈静化することである。権威筋が信頼回復のために行うとすれば、欧州金融安定機構がこのために取り分けた新たな元手から、480憶ユーロをギリシャの銀行に注入することだろう。ヨーロッパ中央銀行は、資本構成が改められなかったことを理由に、今週、金融政策のいくつかについてギリシャの銀行との共同管理を中止した。だが、豊かな流動的資産を手のひらで自由に操る様子を見たら、預金者はもっと安心するだろう。たしかに、これはギャンブルである。もし望まれるなら、現金があるということを預金者に見せたほうがいい。そうすれば資金の流れは止まらないで、どんどん流れていくようになるだろう。

もしヨーロッパとギリシャが次の選挙まで何もしないで見物をきめこむならば、ギリシャ人がユーロ離脱を選択する政府に投票する可能性がでてくる。ギリシャの銀行関係者は、そんな事態が起きないように祈っている。「ユーロ離脱は悪夢です」あるギリシャの銀行関係者は語る。「すでに通貨があったアルゼンチンのようにはいきません。ギリシャでは経済はすぐに物々交換に逆戻りしてしまうでしょう」しかしながら、ユーロ離脱の危険性はエーゲ海のむこうから広まりつつある。

ユーロ離脱によりギリシャへの貸し主がこうむる財政上の損失は、以前よりも処理しやすいものとなった。だが、それでも損失額は巨大なものである。ギリシャのユーロ離脱による最大の犠牲者は、ヨーロッパの納税者なのである。ギリシャ中央銀行は、ユーロのメンバーである他国の中央銀行に約1000憶ユーロの借りがある。もしギリシャがこうした負債の支払いを怠ることになれば、ドイツだけで(ヨーロッパ中央銀行の資金の割合に基づいて計算すれば)約300憶ユーロになるだろう。ヨーロッパ中央銀行も、他国の中央銀行と共に流通市場で購入したギリシャ政府の負債のせいで、560億ユーロの損失をこうむる。ギリシャが救済融資の支払いを拒んだら、ユーロ圏の各国とIMFも窮地に陥るだろう。ヨーロッパは合計1610億ユーロの救済融資資金を支払ってきたが、その中にはヨーロッパ中央銀行を損失から守るために破棄した金も含まれている。IMFは220億ユーロを貸し付けている。

リスク感染による次なる問題をあげるとすれば、銀行のギリシャへのエクスポージャーになるだろう。ギリシャ政府の債権価値を切り下げ、さらにその債権を価値のないものに交換した後でも、ヨーロッパの銀行やその他の投資家たちはまだ名目550憶ユーロほどのギリシャ政府の負債を所有している。ベーレンバーグ銀行によれば、その負債はさらに資産価値を切り下げなくてはならない。

1ポンド金貨のイギリスのみが、ギリシャの債務者ではない。国際決済銀行の計算によれば、2011年末、国際的な銀行はギリシャの会社や家庭に690憶ドルの借金を貸し付けていた(表2参照)。ギリシャに一番借金を貸し付けている国は、フランスである(家庭や会社に対するエクスポージャーは、総額370億ドルになる)。そしてイギリスの銀行(ほぼ80億ドル)とドイツの銀行(ほぼ60億ドル)が続く。

こうしたエクスポージャーが、ギリシャのユーロ脱出で実際にどれほどのリスクとなるか査定することは難しい(さらにユーロにとどまるにしても、資産価値の切り下げが起きるだろう)。こうしたローンのなかには、船や飛行機の融資に使われたものもあっただろう。契約はおそらくイギリスの法のもとでかわされ、ドルで支払いが計算された。海運業のローンの場合、返済は港にとどめおくことができる資産から行われることになるが、それは積み荷を輸送する会社にとっては心配な事なのである。

非上場の会社も、貸付に大いに関係しているらしい。ギリシャ最大の上場企業の分析によれば、多くが比較的小額の負債をかかえ、シンジケートローンが広く分配されたようである。それよりリスク感染が少ないルートとしては、ギリシャの長期社債を買った外国の保険会社や年金財団がある。

もしリスク感染がギリシャから広がった場合、ヨーロッパの財政システムは更に大きな危機に直面するだろう。ギリシャのせいで明らかに危機にさらされる国はキプロスである。それと言うのもキプロスの銀行システムは、ギリシャの銀行とからみ合ったものだからだ。格付け会社のムーディズの見通しでは、もしギリシャがユーロ離脱をするようなら、キプロスの銀行は、GDPの50パーセント以上もの資金増加、ないしは90億ユーロを必要とする損失の責任をとることになるだろう。ヨーロッパの各銀行の、島国キプロスの経済に対するエクスプロージャは360億ドルになる。

スペインとイタリアの借入費用はギリシャ不安に反応して上昇しているが、その一方で、投資家に銀行の状況について安心してもらうための、スペイン政府による試みは失敗した。ギリシャ危機は、2年間にわたって延々と続いた。そして今、政策立案者が周辺国を保証するのに残されているのは数週間たらず、あるいはもっと少ないのかもしれない。

しかしキプロスは些細なことであり、もし必要があるなら難なく救出することができる。ギリシャ離脱で本当に心配されるのは、マーケットが離脱候補として他の大国に焦点をあてることである。ポルトガルとアイルランドが次にくる。スペインとイタリアの借入費用は、ギリシャ不安に反応して上昇してきている。5月17日、預金者が新しく国有化されたスペインの金貸しから10憶ユーロ引き出したという報道をうけて、スペインのバンキア銀行の市場占有率は崩壊した。ギリシャ危機は2年間続いた。そして今、政策立案者が周辺国を保証するのに残されているのは数週間たらず、あるいはもっと少ないのかもしないのだ。

 

(Lady DADA訳・B.Riverチェック)

 

Lady DADAのつぶやき・・・経済欄にも弱く、数字も苦手な私(この記事で言うと、夜のニュースで何を言っているかもわからないような人間)には結構手間がかかりました。数字が大きすぎて0を二桁くらい間違えて訳していそうで怖いです。アメリカ人のクルーグマンと比べると、当のヨーロッパ人はやはり貸した金額、損する金額が一番頭にあるようで、問題がかえって見えなくなっているのかもしれません

 

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クルーグマン「まもなく黙示録がひらかれる」NYTコラム

012年 5月17日 The New York Times

Apocalypse Fairly Soon – NYTimes.com.

ユーロとは政治的な連合体ではなく、巨大で、ひびがはいった通貨連合の実験体なのだが、これから急激に、ユーロが失敗していく様を目にすることになるかもしれない。遠い先のことを話しているのではない。数カ月以内に、もろもろのことがすごいスピードで崩壊するかもしれない。これは数年後のことではないのだ。その犠牲となるのは経済はもちろん、政治も論じられている以上に大きな犠牲となり、莫大なものが失われていくことになるのかもしれない。

こうしたことは絶対に起きてはいけない。ユーロを(あるいは、せめてユーロ圏のほとんどを)守らなくはならないだろう。しかし、これはヨーロッパの指導者に、とりわけドイツとヨーロッパ中央銀行に要求されるものであり、過去数年間とは違うやり方で行動を始めないといけない。説教をするのは止めて、現実と向かい合わなければいけない。すなわち時間かせぎの論議はやめ、一度曲がり角のむこうに飛び出してみる必要がある。

楽観主義者でありたいと願うのだが、現実にはそういかない。

話は過去に遡る。ユーロが誕生したとき、ヨーロッパには楽観主義の大きなうねりがあった。しかし後から判明したことだが、そのうねりは想定したなかでも最悪の事態だった。金はスペインや他の国に流出した。そのときは、そうした国が安全な投資と見なされていたからだ。こうした資本の流出が、過剰なまでの住宅のバブルと巨額の貿易赤字をあおることになった。やがて2008年の財政危機のせいで、資本の流出が枯渇し、それまで勢いづいていた国では深刻な暴落が起きた。

この時、ヨーロッパには政治的な連合が欠けていたせいで、ひどい負債が生じた。フロリダとスペインはどちらも住宅がかつてバブル状態にあった。フロリダのバブルがはじけたとき、それでも退職者たちは社会保障やワシントンから送られてくるメディケアの小切手に頼ることができた。スペインでは、それに相当するものを受け取ることができなかった。そこでバブルがはじけ、財政上の危機が生じた。

ヨーロッパの解答は、緊縮財政だった。ボンド市場を保証しようとして野蛮人が財政削減を行った。しかしながら思慮あるエコノミストなら言うだろう(そう、何度も繰り返し指摘してきたことだが)が、財政削減のせいで、ヨーロッパの混迷した経済はますます不況が深刻化した。こうした事態は投資家の自信を傷つけ、政治的な不安定さにつながった。

そして今、真実に直面するときだ。

ギリシャは、しばらく嵐の目となる。有権者たちは22パーセントもの失業率をだした政策に明らかに腹をたてている。若者の失業率にいたっては50パーセントに至っているからだ。そして、こうした政策を実施した政党を非難してきた。ギリシャ政権が実際にしてきたのは、経済はこうなる運命だったのだと正当性を主張することだが、かえって有権者が急激に反動する結果となり、急進左翼連合の力を上昇させることになった。投票結果が過半数に足らなかったため、連立政権が再選挙で議席を補うことになるが、基本的に試合はもう終了している。ギリシャは、ドイツやヨーロッパ中央銀行が要求しているような政策をしようとしないだろうし、また出来ないだろう。

そして今から何が起きるのだろう。もうすぐ、ギリシャはいわゆる「バンク・ジョグ」を経験することになる。ややゆっくりとした銀行の取り付け騒ぎのことで、ギリシャのユーロ離脱の可能性を予期した預金者が、これからますます現金を引き出す。ヨーロッパ中央銀行は実際、ギリシャに必要なユーロを貸すことで、こうした銀行への取り付けに融資していることになる。もし(おそらく)中央銀行がこれ以上貸せないと判断したときには、ギリシャはユーロをあきらめて再び独自通貨を発行せざるをえないだろう。

ユーロは実際には取り消し可能なのだという意思表示は、そのまま順番にスペインやイタリアの銀行にまわっていく。ふたたびヨーロッパ中央銀行は、上限のない融資を行うかどうか選択することになるだろう。もし融資を断るようなことになれば、ユーロ全体がだめになるだろう。

イアリア、それから特にスペインには希望を与えなければいけない。希望とは、経済的な環境を整えることであり、緊縮財政や不況という状況においても無理のない見通しをもたせることである。現実的にそうした環境を整えるには、ヨーロッパ中央銀行が価格の安定という強迫観念を捨て去り、毎年、ヨーロッパで3パーセントか4パーセントのインフレになるようにするしか方法はない(ドイツでは、それ以上のインフレが必要だ)。

ヨーロッパ中央銀行も、ドイツも共にこの考えを嫌っているが、これがユーロを救う唯一の手だてなのだ。過去2年半、ヨーロッパの指導者たちは危機に対応するにあたって、その場しのぎの手段でごまかし、時間かせぎをしてきた。でも、もう時はむだに出来ない。今や、時は残されていないのだから。

ヨーロッパは最終的には危機に対応するのだろうか。そうであると願いたい。ユーロの崩壊が、世界中に負の波及効果を及ぼすからだけではない。ヨーロッパ政策の失敗のせいで最も犠牲になるのは、おそらく政治的なものだからだ。

こんなふうに考えて欲しい。ユーロの失敗とは、より広大なヨーロッパという試みの完全な敗北に等しいと。すなわち陰惨な歴史が繰り広げられてきた大陸に、平和と繁栄と民主主義をもたらそうとする試みの失敗なのである。ユーロの失敗はまた、緊縮財政の失敗と同じ影響をギリシャに与えている。すなわち政治面で与党を疑い、極端主義の急進左派連合に公的権限を与えようとしているのだ。

確かに私たちの誰もが、ヨーロッパが成功するかどうかについては利害関係がある。それでもユーロを成功させるのは、ヨーロッパの人間の義務なのだ。その仕事がなしとげられるかどうか全世界が見守っている。(Lady DADA訳・BlackRiverチェック)

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