さりはま書房徒然日誌2026年1月8日(木)

手製本応用講座とパッセカルトン講座

中板橋の手製本工房まるみず組へ。

今日は無謀にも応用講座とパッセカルトン講座のダブル受講。

無謀だけど人生は短い、やれるうちに学びたいことは学ぼう。

席には製本計算ドリルが二回分置かれていた。1日だから一枚……ではなく、ちゃんと二枚やるのである。

大変だけど、今日のドリルはこれから作るものに直結していて、とても為になった。

応用講座 並装を上製本へ ビリッと悪戦苦闘

並装の歌集をバラして革装上製本にするプランを続行。

久しぶりの糸かがり台だ。セッティング方法をすっかり忘れていた。

テキストを見つつやる。さすがに記憶が蘇ってくる。でも遅い。

極薄和紙、スパイダーでつなげたページを縫って折丁をつなげる……筈だったのだ。

でも、これがすごくハードルが高いことにトライして気がつく。

和紙に針を通して糸がたるまないようにピンと張る……

するとビリッとスパイダー和紙が破れる。

先生が破らない工夫を教えてくださるも、私がやるとしょっちゅうビリっとなる。

破らないようにすれば糸が弛む、糸を引き締めればビリッ。難しい。

ようやく終わって確認。

糸がページの端にひっかかって、ユワーンユヨーンの状態になっているページを発見。

でも先生は優しく笑って直してくださる。背は隠れてしまうからと、背の方に糸を引っ張って、切って玉結びをして弛みを解決して下さった。有難い。

それにしても並装を上製本に直すのが、こんなに難しいとは!

まるみずの製本コンクールに文庫本を上製本に直して出される方が何人かいらっしゃる。

皆さん、スパイダー和紙を縫って上製本にされているんだ。しかも文庫本はページが多いからものすごく大変。

まるみずの場合、手間がかかってもきちんと糸かがりをして改装本にするので、こんな苦労をされていたんだ……と知った。

パッセカルトン 第1回

パッセカルトンは糸かがりの本を三冊選んで仕立ててゆく。

最近の本で糸かがりの本は少ない。古典文学全集とかは糸かがりだと思うが。

私は丸山健二全集九巻「月に泣く」をパッセカルトンの本に選んだ。

ちなみにこの全集も1巻が糸かがり、そのあとはアジロ綴じが続いて9巻が糸かがり。

今はもうない版元の思い入れのある本だったのかもしれない。

本を解体する前に、先生から応用講座の時に本の情報メモが分かりにくかったから、きちんとメモをとるように助言を受ける。

パパッ、ごちゃごちゃ書いてしまっているので反省。

タイトル、著者、刊行年、ページ数、折丁ごとのページ数、別丁とびらやカバーの有無、天地サイズ、左右サイズ……色々メモ。

表紙を外して、糸を切って折丁ごとに解体。

うっかり紙にダメージを与えてしまったりトラブルはあったけど、一冊だけ解体終了。

作業の合間、先生が特色印刷や孔版印刷について、実際の印刷物を見せながら説明してくださる。

すごく綺麗、お洒落。

さらにタラブックスの現地版の、シルクスクリーンで印刷した本を見せて下さる。眼福。

まるみず福袋↓も手に入れ、先生が描いたマルミズちゃんのイラストがかわいいカレンダーでほのぼのと家路に。

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さりはま書房徒然日誌2026年1月7日(水)

丸山健二「千日の瑠璃 終結7」より八月二十九日「私はモズだ」を読む

籠の外からモズが世一が飼うオオルリを眺める。

オオルリとモズの姿をじっと眺めて描いているようでいながら、鳥に人の世を反映させて思索する文。

そもそも私にはオオルリとモズの区別もよくついていないし、鳥の姿に人の世を被せて考えるなんてしないなあと反省した。

私は春先からずっとオオカエデの枝に止まって
   この美しすぎる姿の青い鳥の
      これまた美し過ぎる鳴き声を学び取ろうとし、

これまで九十九種類の鳥のさえずりを習得してきた私の
   まさに最後の目標はいうと
      オオルリにほかならず、


(丸山健二「千日の瑠璃 終結7」391ページ)

ところが
   籠のなかだけが勢力範囲のこのオオルリときたら
      私の口真似にはいっさい動じず、

しかも
   確かに似てはいても
      哲学的な響きの欠落だけはいかんともしがたいなどと
         皮肉混じりの厳しい揶揄を投げかけてきた。


 (丸山健二「千日の瑠璃 終結7」392ページ)

残念ながらそいつは少しも慌てず
   檻の真ん中でじっとして
      たまには自分の声で鳴いたらどうだとからかい、

そのひと言で我に返った私は初めて恥というものを知り


((丸山健二「千日の瑠璃 終結7」393ページ)

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さりはま書房徒然日誌2026年1月4日(日)

丸山健二『千日の瑠璃 終結7』より八月二十六日「私はアオコだ」を読む

うたかた湖に短期間で大量発生したアオコが語る。

以下引用文。気候も、人の心も共に荒れる様子がシンプルな言葉だけにずしりと響く。

その荒みが生命の源の水まで荒らしてしまうことにハッとした。

雨のたびに流れこむ山の肥沃な土
   キャンプ場や飯場や宿や別荘から垂れ流しにされてる雑排水
      例年よりはるかに多い夏日と熱帯夜
         急増しつつある因業で算用高い人間
            外国の海で日焼けできない観光客の荒んだ心


それらが私の強力な味方をしてくれ
   この調子だと今年じゅうには
      飲料用水の価値を奪えるかもしれず、

来年までには
   灌漑用水としての価値まで
      引き下げられるかもしれない。


( 丸山健二『千日の瑠璃 終結7』380

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さりはま書房徒然日誌2026年1月2日(金)

丸山健二『千日の瑠璃 終結7』より八月二十五日「私は街灯だ」を読む

リゾート開発を進めようとする連中に緋鯉を毒殺された復讐をしようとする世一の叔父。

その心の移り変わりが街灯に照らされた姿、背中の緋鯉の描写から迫ってくる。

以下引用文。なんとも怖そうで、恨みが積もっている様子がひしひしと伝わってくる。

作業用の雨合羽を鈍く光らせ
   腰間に挟まれた白鞘の刀をくっきりと闇に浮かび上がらせた私は
      彼が晴らそうとしている積怨の一から十までを暴き出し

(丸山健二『千日の瑠璃 終結7』374ページ)

待ち伏せる男の胸のうちをいっぱいに占めた
   毒殺された錦鯉の累々たる死骸が
      怨恨と憤怒の悪臭を放ち、

(丸山健二『千日の瑠璃 終結7』376ページ)

以下引用文。男の気持ちの一瞬の変化を、背中の緋鯉に託して語っている。

分かりやすく説明されるより、そういうふうに語られる方があれこれ想像して心に残る。

その想像が、最後「電柱」に喩えられた男の姿で一気に膨らむ気がする。

そのとき
   電柱の陰に隠れている男の背中で緋鯉が勢いよく跳ねたかと思うと
      彼の右手がすっと動いて
         私が放つ弱い光を十倍にも輝かせ、

気づいたときにはもう
   ほっそりとした危ない代物が
      雨のなかへ引き出され、

そんな切迫の最中に登場した少年世一を
   私が照らすと
      緋鯉は平板な彫り物と化し
         長い刃物は杖と化して
            男は電柱の一部と化す。


(丸山健二『千日の瑠璃 終結7』377ページ)

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さりはま書房徒然日誌2025年12月28日(日)

手製本講座のテクニカルレッスン「コーナーウッドノート」作り

百均のノートがお洒落に変身!

今日、中板橋の手製本工房まるみず組でコーナーウッドノート作りのテクニカル・レッスンを受けてきた。

コーナーに木片を埋め込む製本方法は、まるみずの先生が考えたものらしい。

先生もこのノートをずっと使っているそうだが、木片は取れたりしないとのこと。見返しの引っ張る力も働いているらしい。

今回、本体は機械かがりの(でも糸かがり)市販ノートを使用。

百均で売っているノートだそうだ。




何でも百均の商品を多く生産している中国は、まだ無線綴じの製本機械が少ないらしく、糸かがりのノートがよく販売されているそうだ。

糸かがりノートが百円だなんて、なんて素敵な贅沢!

使う革、見返し、コーナーウッド、花布を選ぶ。

私はオフホワイトの革。

花布は訊かなかったが、先生がご自身で糸で編まれたものでは……なんて贅沢!

コーナーウッドは宮古島のテリハボクという木から作られている。

何でも防風林に植えられる丈夫な、硬い木だそうだ。

切り出した後、表面に丸いカーブをつけ、リンシードオイルに10日ほど浸すことで艶をだすと同時に、密度を高め丈夫にするそうだ。

今回、背を柔らかく仕上げるためにクータや芯材は入れないで寒冷紗のみ。

花布も貼り付ける。

革のもっこりしそうなところをメスで薄く削ぐ。

革でボール紙をくるんで貼る。

意外と革が抵抗してすぐ元に戻ってしまう。でも何とか折り曲げて貼る。

コーナーウッドの形に合わせて四隅をカット。

でも微妙に大きさがずれていて、コーナーウッドが飛び出してしまう。

また少し再度カットする。

コーナーウッドを強力ボンドでボール紙に貼る。

ボール紙の上に補強のカード紙を貼る。

背中を包んで見返しを貼る。

百均のノートも、アイディアでこんなにお洒落な雰囲気に変身する!

工夫してモノを作る心が大事と知る。


それに紙と革と木と本の相性の良さも知る。

来年も失敗してもまた色々作ってみたいもの……と思う。


コーナーウッドのノート作りにトライしたい方は、まだいくつかまるみずのショップで販売しているとのことだ。(年末年始のお休みに注意)

ミゾはわざとつけていない。ふんわりした感じを出している。

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さりはま書房徒然日誌2025年12月27日(土)

丸山健二『千日の瑠璃 終結7』より八月二十四日「私は落涙だ」を読む

少年世一にオオルリのさえずりをきかせてもらっている盲目の少女が流す涙が語る。

盲目の少女に見えてくる世界の広がりに、つまらない欲が消え、心が静かになる文。

ために
   少女を愛犬と共に
      夏空の向こうに横たわる
         広大無辺の宇宙へといざない、


輪番制で
   もしくは順繰りに生滅する
      星々を見せてやり、

無いものを嘆く気持ちを
   あっさりと吹き飛ばした。



その代わりとして
   有るものに集中して生きる力を授け、

張り切り過ぎたオオルリは一滴鮮血を吐いたものの
   黙ってしまうことはなかった。


(丸山健二『千日の瑠璃 終結7』371ページ)

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さりはま書房徒然日誌2025年12月25日(木)

手製本応用講座ー並装から上製本へ 続きー

 ミス、ミスの連続

中板橋の手製本工房まるみず組へ。

並装の歌集を上製本へ、の続きをやる。でも今日もミスの連続。

一枚ものの「ぺら」を先週作った折丁につける。

一枚ものに和紙の短冊をつけるやり方は基礎課程でやったのに忘れてしまっている。


まずは並装の接着剤の跡(赤い部分)を剥がす。

剥がすのも時間がかかる。でも綺麗に剥がれた。

和紙をペタリ貼ってカッターで切る



だが左に貼るところを右に貼ってた……。剥がそうとしたらビリビリに。結局やり直す。

ようやく手締めプレスにはさむ段階に。

糸でかがる位置を計算して、細い鋸、太い鋸でかがる位置を削って目引きする。

でも上手く削れない。鋸がブレる。

見返しを貼って今日の作業はおしまい。

でも、ここでも大きめのサイズに切っておく見返しを、ジャストサイズに切っていたためアタフタする。

さらに表紙に使う予定の革を見て頂いたら寸足らずになりそうな予感。

おまけに革に自然に入っている縞模様が、どうも本の向きとは逆。



私はネットで注文したのだが、ネット画面だと細かい模様までは分からない。

現物を見て、手触りを確かめて購入するのが一番……と学ぶ。

今回も根気強くご指導くださった先生に感謝。

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さりはま書房徒然日誌2025年12月24日(水)

工場見学ーときわ台の泰耀印刷株式会社へー

昨日(23日)、手製本工房まるみず組が企画してくださった工場見学に参加。工房と同じく板橋にある泰耀印刷株式会社を見学させて頂いた。

まるみず組は東武東上線中板橋駅からでも、ときわ台駅からでも行くことができる。
私はいつも中板橋から。集合場所のときわ台駅は人生で初めて降り立った。

ときわ台駅の佇まいは小さいながら上品、レトロ感がある。何だかお隣の中板橋とはずいぶん違うような……

泰輝印刷までの、ときわ台の街並みも、中板橋や他の東京の街とは随分違う。

松の植栽が美しい門に暖炉の煙突が見えているような大邸宅……が何軒もあちらこちらに。

今時、東京に暖炉の家がこんなに点在する地区があるとは!

調べたらときわ台は大昔は東武鉄道所有の車両予定地。
それが関東大震災で住宅街へ、国の若き建築家が陣頭指揮をとったらしい。
そのせいで緑美しい、落ち着いた街並みが作られ、今も残されている。

泰輝印刷株式会社に到着。

外見からしてお洒落!

映画寅さんのお兄さんも確か印刷工場勤務だった記憶があるが、あの寅さんの世界の印刷工場とは全然イメージが違う。

まず2階にあるワークスペースにあがり、土方社長から説明を聞く。

このワークスペースは一般の方がシルクスクリーンやリング製本を体験できるように、ワークショップの場所として開放されているそうだ。
シルクスクリーンの作品の存在感のせいか、ここも何だか雑貨屋さん風の雰囲気。
お洒落だし、ワクワク感がある。印刷工場の中ってこんな感じとビックリした。

さあ、工場見学へ。

ものすごく丁寧に色々説明して頂いた。

でも私の頭に強く残ったのは、印刷されたばかりの印刷物の美しさ。

参考書のカバーにしても、化粧品の大きなポスターにしても、封筒にしても、みな清々しい美しさに溢れている。

私たちが普段目にしている印刷物は、太陽の光、風、振動によって、ごく微かにだけど劣化しているのかもしれない。

ちなみに工場の中には窓がなかったような気がする。

もしかしたら紫外線の作用でインクや紙が劣化することを避けるためでは?と思いつつ見学。

(泰輝印刷株式会社のパンフ表側をパカっと開いたもの ↓)

また印刷物が丁寧に扱われていることにも驚いた。

出来上がった印刷物の梱包作業をしている女性たちは、頭にビニールのキャップを被り、手にもビニール手袋をはめ、丁寧に作業されている。
印刷物を汚してはいけないという心を感じた。

それにしても、まるで新生児を扱うような丁寧さに驚いた。

(泰輝印刷株式会社のパンフ内側 ↓)

工場の中には、様々な機械が並んでいる。

説明を伺っていると、なるべく環境に負荷をかけないように……そんな方針で機械を導入されているようだ。

以下、写真とコメントはたくさんある機械についてほんの一部。

まずはデザインと編集をするDTPの部屋へ。Macのコンピューターがずらっと並んでいる。

↓ 印刷の版を作る機械。

ドイツのハイデルベルク社製の印刷機。とても長く、幾つも並んでいる。

写真中央上にはカメラが二つ見える。このカメラで印刷物に異常がないか検知するそうだ。

印刷機の上に登らせて頂く。が、運動不足で最初の段でよろめいた。

印刷機の上から覗き込むと、インクの湖が見えた!

このインクの色を調整されてゆくらしい。

印刷機の最後にはモニター画面がある。

印刷する紙の外側には一枚ずつ番号がふられている(後で断裁するそう)

その番号とカメラが送る映像を手掛かりに、印刷物を検査してゆくそう。

印刷機の最後には白い粉が入った袋が置かれていた。

印刷物がくっつかないようにまぶすそうだ。コーンスターチ由来の優しい粉らしい。

ドイツの印刷機の最後には、浅草寺の安全祈願のお札もぺたりと貼られていた。

工場は昼勤務、夜勤務と別れて24時間フル稼働されているとのこと。お札が見守ってくれますように。

以下は確か国産の印刷機。UVの青い光を利用することで早く乾かすらしい。

断裁機も体験させて頂く。

足元のペダルを踏んだあと、左右両方のスイッチを押さないと刃が降りてこない……うっかり手首を挟まないようにそんな作りになっているとのこと。

また刃の間に何かが挟まっていると、刃は降りてこないそう。

でも怖い。トライしたらすごく軽い感じで断裁できた。

金属板には小さな穴があって、空気が吹き出して紙を持ち上げてくれるそうだ。

そのほか、機械がいっぱい!

箔風印刷をする機械

面白い形に切り抜く機械

球状のものに印刷する機械

無線とじ印刷をする機械

色んなものに対応することが可能な会社なのだ……と知る。

ワークショップの部屋に戻って、リングノートとカレンダー作りの体験をさせて頂く。

リング製本の道具↓

ノートはいろんな紙から選ばせて頂いた。

社長さん社員さんに教えていただきながら、ノートとカレンダーの完成。

見学して印刷物が出来上がるには、機械も、手間も、人手もいるのだなあ……と思った。

また色物の印刷、同じ素材を異なる方法で印刷したものを見比べた。

印刷する物によって、この場合はこちらの印刷の方がいいのでは……という気がして、一概に決められない気がした。

色物の印刷の難しさを知った。

貴重な機会をくださった泰輝印刷株式会社様と、まるみず組の先生に心から感謝。

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さりはま書房徒然日誌2025年12月22日(月)

丸山健二『千日の瑠璃 終結7』より八月二十三日「私はきょうだ」を読む

「きのうと寸分変わらぬ おそらくあしたもだいたい同じだろう 少年世一が迎えつづけるきょうだ」が語る。

「きのう」「あした」「きょう」と平仮名にすると、見えない時の流れという感じが強くなる気がする。

以下引用文。普通に書いたら「世一は遠回りをしました。地蔵に気がついて蹴りました」という文になるのだろう。

でも、こう書くことで世一の無邪気さ、浮世離れした強さ、微笑ましさが出てくるような気がする。

私を引き連れた世一は
   そっちへ行くと遠道になるのを百も承知で進み、

おめでたい顔をして路傍に立っている地蔵に
   コブラツイストの荒技を仕掛け、


(丸山健二『千日の瑠璃 終結7』367ページ)

以下引用文。丸山先生らしき怪しげな男もまいてしまう世一のどこか不思議さ。

それから世一は
   自分を執拗に付け回すサングラスの男を
      昼なお暗い森へ誘いこんで撒いてしまい、


(丸山健二『千日の瑠璃 終結7』368ページ)

以下引用文。世一の一日を語ったあとの最後の文。

この文で「では私は?」と考える旅へ出てしまい、頁をそこで閉じてしまう

こうして私は
   果たすべき課題などひとつもない毎日と

      飽きもせずに付き合っている。

(丸山健二『千日の瑠璃 終結7』369ページ)

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さりはま書房徒然日誌2025年12月19日(金)

並装から糸かがり角背上製本へのんびり作業

=ミス発見=

18日(木)は中板橋の手製本工房まるみず組へ。
並装から糸かがり上製本への改装本の続きをやる。

前回、薄い和紙スパイダーを真ん中に置いて本文を二枚ずつ貼り、その四ペアを重ね折丁にした!

……筈だったが相変わらずのミスを発見。しかも私の性格がよく出ているミスだ!


まず下の写真。
最後から二番目の折丁でこけるところが私らしい。
しかも最後に作業する一番外側にあたるところ……というのも私らしい。

どこでミスをしているかお分かりだろうか?

99ー100のページの向きを間違えて逆にしてしまっていた。

100、99、101になってしまっていた!

恐る恐るスパイダーを剥がしてやり直す。

糊と和紙は優しい。ゆっくりやれば、綺麗に跡も残さず剥がれてゆく。

だから世界中、本の修復現場で和紙が使われているんだ……と納得。

まだまだ他にも不具合が見つかる。

一番最後の折丁の外側、なぜか高さがずれている。

どうやら私は最後になると、気が緩んでミスしたり、いい加減にやってしまうらしい。

不具合を直してから折丁の上下に飛び出ているスパイダーをハサミでチョキチョキ切る。

そのあと表紙用ボール紙を切り出し。

一枚もののページにつけるスパイダー和紙を切る。

私は極薄和紙を切るのがとても苦手なのだが(ティッシュをカッターで切るようなもの、ビリビリになってしまう)、まるみずの先生が側にいてくれると、なぜか切るのに成功する。

まるみずのショップで購入した古裂帖。一閑張の材料にしよう。


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