さりはま書房徒然日誌2026年3月5日(木)

製本応用講座ー自作長編を丸背上製本にするー

           

パッセカルトン七回め

中板橋の手製本工房まるみず組へ。

製本応用講座とパッセカルトン七回めを受けてきた。

どちらも地味な作業である。


製本応用講座ー自作長編を丸背にするー

自作長編を三冊丸背にしているのだが、作業は中々進まない。

不器用者ゆえ糸かがり台の糸の結び方でもアタフタ、金具に糸を留めるのもアタフタ。

でも早い人はささっとセッティングしてしまう。

なぜ私は……?

でも基礎過程で初めて糸かがり台に触れた時と比べたら、セッティングも早くなってきた。あのときはチンプンカンプン状態だったもの。

そして今、同じ本を三冊作っている。つまり同じ作業を三回。

呑み込みの悪い私も、これだけやれば少し慣れる気がする。

前回の二冊めの二折めまで糸でかがった状態からスタート。

厚めの紙をたくさん重ねて折丁をつくってしまったせいで、針が中々通ってくれずアタフタする。

折丁の真ん中にはトンカチ(青)を置いて、真ん中の紙まで針が届くように用心。

端まで来たら糸を横に引っ張り、トンカチで折丁をトントン叩いて平らにする。

見返しのある最後の折丁にきた。

が、ここでしくじる。

真ん中の紙まで針を通さないでかがっていた。慌てて針をバックさせる。

糸と金具を外して二冊めのかがりは完成。↓

また糸と金具をセッティング。三冊めの途中で今日の応用はおしまい。


同じ作業台の方に「丸背は基礎でやったけど、よく分からなくて」と言えば、その方も
『私も丸背は分からなくて苦手」とのこと。

自作でなければ、よく呑み込めていない丸背で作ろうとは思わなかったかも。

そのエネルギーを書く方に向ければとも思うが、文字に本という姿をあげることは愉しく、下手でもいい気分転換に。

パッセカルトン七回め

バラしてプレスしておいた本三冊を確認。

糸かがり部分がバラす作業のときに破れたり、糸かがりの穴が残っているページは補修のためどける。

↓右がセーフ。左が要補修。

ほとんどが要補修だ。

補修用の糊を作る。

防腐剤無添加のケイコー糊(中性)の粉をパラパラ、水を足して混ぜる。

ケイコー糊については、まるみずのショッピングサイトに説明がある。↓

https://marumizu.ocnk.net/product/1552

混ぜているとだんだんプルプルになって和菓子のスアマみたいな感じになってきた。

でも、これではいけないらしい。

水を何回か足す。

水を足す、混ぜるを繰り返して、フルーチェみたいな状態でOKが出る。

ページの真ん中の糸でかがっていた部分、穴が空いたり破れたりしているので、右側のスパイダーという極薄の和紙にケイコー糊を塗って貼って補修。

真ん中の紙は糊ひき作業の汚れ防止の紙

地味な作業だが、黙々と作業をしていると心安らかになる気がする。

思ったこと その1

本をつくるという作業は、元々はとても時間と手間のかかるものだったのだなあと思いつつ作業する。

昔、本を手にする層は王侯貴族だったから、それでも成立していた。

現代の大量に、あっという間に生産される製本技術のおかげで、我々一般人も本を手に取ることが出来るようになった。

でも本は元々が時間と手間をかけた存在。そのねじれが本の難しい状況の一因にもなっているのかも。

思ったこと その2

午後の部は受講生が多く、十人以上いただろうか。

それぞれが別の作業で先生は大変だ。

でも、それがまるみず組のよいところ。他の方の作業を見ていると、こういう作品もあるのだなあと刺激を受ける。

十人がそれぞれに異なる形、体裁の本づくりに励んでいる様子を見ていると、「本」と言ってもイメージする形が本当に違うものだなあと思う。

一方で書店で手にする本は、中身や表紙は違えども、本の体裁はどれもほぼ均一化されている。

「中身が大事」という意見は分かるが、それにしても送り手サイドと受け手サイドでは本に対するイメージに大きなギャップがあるのかも……。

 そんなことを思うほど、様々な佇まいの本を見たような1日だった。

石神井川の桜。開花までまだまだ。

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さりはま書房徒然日誌2026年3月1日(日)

製本応用講座ー自作長編を丸背にするー

日曜日の午後、中板橋の手製本工房まるみず組へ。

今回の製本計算3分ドリルは豆本について。

老眼の私が豆本にトライすることがあるのだろうかと思いつつやる。

先生から豆本が広がらないようにするにはどうすればいいか……など助言を頂く。

前回かがり台に放置したままの折丁の続きをかがっていく。

丸背の場合、最初、糸の太さがそれでいいかは確定できない。

途中まできたところで小口、背の厚みを測定、計算して確かめる。

九折ある折丁のうち四折目までかがったところで測定。

でも先生に測り直してもらうと、0.5ミリ、2ミリと測り間違えている。正しく測れる人になりたいものだ。

とにかく先生が最初に選んでくださった糸で大丈夫なことがわかる。さすが。


黙々とかがって一冊めが終わる。

よく見ると折丁と折丁の間が少し隙間ができている箇所がある。

これは縦糸がしっかり折丁に食い込むまで、横糸を引っ張っていないからだそう。

これでも背固めをしてしまえば大丈夫みたいだが、美しくビシッとかがれるようになりたいものだ。

三冊作る予定なので、あと二冊。

三冊にしたのは大変だったかも。

でも流石に呑み込みの悪い私も三冊つくれば、何となく記憶に残る気がする。

今回は二冊めの途中で終了。また自作長編をかがり台に置き去りにして帰る。

この暖かさのせいだろうか、石神井川の桜も少し蕾らしきものが見えてきた。

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さりはま書房徒然日誌2026年2月27日(金)

製本応用講座ー自作長編を丸背の本にするー

昨日は中板橋の手製本工房まるみず組へ。石神井川の桜もまだまだ冬の眠りの中。

今回やり始めたのは、自作長編を丸背の革装にするバージョン。

一週間工房でプレスしてもらった折丁は別人のようにビシッとしている。

見返しの部分を本文に合わせてカッターで切る。

カッターの替え刃を持参せねば……と思いつつ、ころりと忘れる。

貸して頂くことも出来るが、まあいいかと切る。

少しボソボソしているかも。後日、裁断機にかけるそうだから、まあいいかと切り続ける。

でも貸して頂けるとはいえ、道具一式はちゃんと自分のものを持参しないと……と反省。

この後の作業は難渋してしまい、写真が途切れる。これは同じ作業を撮影した以前の写真。

糸かがり台のセッティング作業。慣れた人はあっという間にささっとやる。

でも私は糸を結ぶのにも苦労。結んでいる筈がブチっと切れる。

さらに糸に金具をつけるのにも苦労。

ずいぶん時間がかかってしまった。

これも以前の写真。

なんとかこの状態までもってくる。

さあ、かかるぞ……と思ったら、中々針が開けた穴に入ってくれない。

先生曰く、重量のある紙にしては一つの折丁に紙を重ねすぎた……からだそう。

かがり台に本文をを載せたまま、二折めまできたところで作業はおしまい。

でも最後に先生から表紙の装丁について、素敵なアイディアをいくつも教えて頂く。

革でそんなことも出来るのか!と楽しみに。さあ早くかがり台を脱出しなくては。

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さりはま書房徒然日誌2026年2月25日(水)

丸山健二『千日の瑠璃 終結8』より九月十四日「私は供物だ」を読む

「あまびこ神社の神官の手によって うたかた湖に恭しく捧げられる」供物が語る。

「水のほうは人間が大嫌い」という発想はなかった。

いつも都合のいいように、水に自分の思いを仮託していたかもしれない。

でも水にすれば、そして森や海にすれば、理性なく荒らしまわる人間という存在は、何とも嫌なやつに思える……という視点にハッとした。

すると神官の息子は
   「人間は水が大好きでも
       水のほうは人間が大嫌いなんですよ」と言い、

だが彼の父親は
   水は神そのものであるからにして
      けっして人間を見捨てたりはしないと
         自信たっぷりに言ってのけ、


ひっきょう
   彼らの見解の相違は
      永遠に持続しそうな案配だ。


(丸山健二『千日の瑠璃 終結8』57ページ)

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さりはま書房徒然日誌2026年2月23日(月)

初めての料紙つくり

手製本工房まるみず組のテクニカルレッスン「はじめての料紙」を受講。

料紙(りょうし)とは、美術和紙工芸のこと。

様々な装飾技術があるらしいが、今回は金箔を使う装飾&必要な道具作りを学ぶ。

道具その1 皮版(かわばん)

金箔を切るための台。

ボール紙を重ね貼り合わせ、その上にふかふかの真綿を置く。

そして余り革で包む。

チョキチョキ革を切ったり、貼ったり。

裏部分を製本クロスで隠す。

シワシワがいっぱい出来てしまった。

完成!隅のあらをリボンを貼って隠さなくては。

道具その2 竹刀(ちくとう)

竹刀をひたすら削る。

だが不器用な私には中々うまく削れない。

竹は電気を通さないので、静電気防止にもいいそうだ。

道具その3 箔筒(はくつつ)

市販品もあるらしいが、身近なもので安く作れる。

紙の筒に目の荒い寒冷紗を被せる。輪ゴムで止める。これだけ。

あとは箔を中に入れて、百均で売っているステンシル用野ブラシで擦ると、砂子がキラキラ散る。

箔の切り出しに入る。

皮版にも、竹刀にも、竹のピンセットにもシッカロールをたっぷり塗って、手の脂を防止する。

脂を拭き取るために真綿も用意する。

でも上手く切れない。すぐビリビリになる。

和紙にドーサ(箔を定着させる液。膠と明礬をミックスした液)を塗って、切り出した箔を貼る。

でも箔は勝手にふわりふわりと漂って思うように張り付いてくれない。

作業の合間に先生から伺う和紙や和本の話も興味深い。

先生のおすすめのサイトは、国文学研究資料館の「和本の様々」だそうだ。ほぼ全ての和本の形態を見ることが出来るらしい。

お話を伺っていると和紙への愛情とレスペクトが伝わってくる。

先生にとって紙は単なる道具ではなく、愛おしいものなのだなあと思う。

私もそんなふうに紙と関われたらいいな……

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さりはま書房徒然日誌2026年2月19日(木)

パッセカルトン講座6回&製本応用講座

中板橋の手製本工房まるみず組へ。

近くの小さな社?祠?の梅は先週くらいから満開である。

この横を石神井川が流れているが、川端には桜並木が途切れ途切れに続いている。これからが楽しみである。

パッセカルトン6回

今日も黙々とページを伸ばしてはガサガサするボンド跡を剥がしてゆく。

ついに三冊とも終了。

板に挟んでプレス機へ。次回までそのままプレスした状態にして、ひたすらのばす。

地味な作業の合間に、先生から色々製本関係の本のことを教えて頂く。

先日、神奈川県立図書館に展示してあった池上幸二郎・倉田文夫「本のつくり方」はとても良い本で、英語圏でも翻訳されて出版されているそう。

さらにこちら遠藤締之輔「古文書修補六十年」もおすすめだそう。

製本応用講座ー丸背本作り、同時三冊進行ー

自作長編を三冊丸背にしたいと提案すると、先生は三冊を効率よく製本する流れを考えてくださる。

今回は糸でかがる位置にのこぎりで切り込みを入れる目引き。それから見返しはり。

どちらも基礎で何回もやっているのに綺麗さっぱり忘れている。

先生は「私がやってしまったら、覚えられないから」と、老いた脳が動き出すのを根気強く待っていてくださる。優しい。

ノコギリを入れる位置、一回目は計算間違いをしていて先生に指摘され、もう一度計算する。

こんな風にセッティングするのも、いくらトントン揃えても紙が滑ったり、うねったりして難しい。

ノコギリ作業にしても、やりすぎると怖いし、足りないと折丁に穴が開かない。
丁度良い感じだと、覗き込んだときにノコギリの跡にお星様みたいな跡が見える。
折丁の内側にまで到達すると、内側がお星様みたいに黒く見える。

とりあえず先生のおかげで三冊に目引き、見返し貼りするところまで終わる。

次回は糸かがりだ!

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さりはま書房徒然日誌2026年2月15日(日)

パッセカルトン5回目

中板橋の手製本工房まるみず組へ。

早い人でも百回かかるらしいパッセカルトン講座の五回目。

本をバラして出来た折丁の山。

それを一枚ずつ広げて、まずかがり穴に浸透しているボンドの跡をとる。

元々糸かがり製本の本を材料にしているので、それほどボンドは多く使われていない筈。

それでも指でなぞると、ザラっとした箇所があって、そういうところがボンドの跡。

そんな痕跡を指先やカッターの背で剥がしてゆく。

それからテフロンのヘラで折り目を伸ばす。

二時間かけても一冊が精一杯だ。

それでも指先で紙に触れていると心安らぐ気がする。

作業の合間、先生から消しゴムはんこのことやら、ガラスペンの店カキモリさんのことやら教えていただき、色々と刺激を受けた。

バラして掃除し終えると、このままプレス機に。↓
プレスをかけ続けたものを、また最初から折り始めるそうだ。

一度、本として誕生したものを、また母親の胎内に戻すような不思議な気がする。

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さりはま書房徒然日誌2026年2月14日(土)

製本応用講座ー改装本の完成ー

少し前になるが2月12日(木)、中板橋の手製本工房まるみず組へ。

改装本にした歌集に函を作る。

基礎講座のときも函は作っているけれど、応用講座になって先生のチェックはより厳しくなる。

何度もチェツクをされては「0.5ミリ分はみ出しているから、0.5ミリカットして」と教えてくださる。

最終的にピッタリの高さにするコツやら教えて頂く。

中々くっついてくれないのでマスキングテープでしばらく押さえる。

シワができないようにノリボンドを塗る方法、接着した紙をピッタリくっつける方法やら教えて頂く。

歌集「赤色(セキショク)」の改装本と函が完成。

函は本当にピッタリサイズになった!

函の表側も内側も赤。

本の表紙は赤い革。

花布も赤。

真っ赤な本が完成!

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さりはま書房徒然日誌2026年2月12日(木)

丸山健二『千日の瑠璃 終結8』より九月十三日「私は拡声器だ」を読む

リゾート開発推進派、反対派が町長選をめぐって罵り合い、「美しい郷土が廃墟と化してもいいのかと がなり立てて止まぬ」旧式のスピーカーが語る。

反対派の青年は、非難するうちに世一が大切に飼っている、でも本当は飼ってはいけない野鳥オオルリのことまでおおっぴらに非難する。

自然保護活動に励む正義の一団が、世一にとって大切な友であるオオルリの存在を非難するという、もっともなんだけどやり切れない人の世。

そんな矛盾を見つめる視線が丸山文学の魅力のひとつなんだと思う。

次にマイクを持った若者
   つまり
      反対派の筆頭の元大学教授の見解に同ずる
         胸に青い鳥のバッジをつけたよそ者が
            推進派に属する人々を
               いちいち名指しして容赦なくあげつらい、

かれらは馴れ合って善人を騙す
   我利我利亡者の権化にほかならず
      人間の風上にも置けぬゲスどもであると
         そう断じてしまう。


(丸山健二『千日の瑠璃 終結8』51ページ)

そんな騒ぎの中にいても、世一は気がつくでもない。
そんな世一は、勝手な自然保護にかられた一団とは違って、純な魂を見せてくれている気がする。

しかしその少年は
   オオルリという一語のみに反応しただけで
      それ以上のことに理解が及ばず、

従って
   事の重大さに気づくまでには至らない。


((丸山健二『千日の瑠璃 終結8』53ページ)

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さりはま書房徒然日誌2026年2月5日(木)

製本応用講座&パッセカルトン4回

製本応用講座 改装本

応用講座とパッセカルトン講座、この二つを受けてきた。

製本計算ドリルもちゃんと二枚分用意されている。

「カットすると何枚になるか」という単位に「才」なんてものが、あるのを初めて知った。

計算ドリル、たくさん間違えるも、計算するし、手先は使うし、手製本は老化防止にもいいかもしれない。

箔屋さんにお願いした箔押しが出来上がってきた。少し赤みを帯びた金が、赤い革に映えて素敵。

「箔がつく」という言葉を体感した気がする。箔があると、すごく存在感が増す気がする。

糸でかがった本体と革表紙を合体。

適当な紙を巻きつけて整える(ウースをかける、と言う)

函の内側部分に紙を貼り、切り出したところで今日はおしまい。

函の組み立てはゆっくり次回に。

私の場合、焦ると必ずミスをするからゆっくりモード。

パッセカルトン4回

前回までにバラした三冊の本の折丁をひろげ、テフロンヘラで折り目を伸ばしてゆく。


ガサッとしている箇所はボンドが残っているので、爪先やカッターの背でこそげ落とす。

時間がかかる作業で二時間かけても一冊しか終わらない。

でも合間に先生が束見本(本を印刷製本に出す前に、中身は白紙の状態で試しに作る本。サイズ感を確認したりするそうだ)を見せてくださる。

色々束見本について教えてくださる。

初めて束見本というものを見た。

知らないことを教えて頂いて、あっという間の二時間だった。

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